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感染予防の基本とは?

2020/04/10 更新日:2022/03/11

当たり前になってきている感染対策

新型コロナウィルス感染の問題が起こってから、アロマやリラクゼーションのお店が、こぞって「お店で衛生管理を徹底している」ことを伝えるメッセージをホームページに出すようになりました。これは、ほんのちょっと前まではあんまり見られなかったことなのです。感染予防に気を配るお店が増えたのは、喜ばしいことだと思っています。ですが、こういう状況にならないと気付かなかったのは、ちょっと悲しいなと思っています。

感染対策の基本は標準予防策

今まであまり知られていなかったのですが、マッサージなどの施術は、実は感染リスクが高い行為なのです。ですので、マシュマロ・タッチ®︎では、もう10年も前から医療現場の基準であるスタンダードプリコーションに準じた感染対策を講座の中で教えています。日本語で「標準予防策」とも言われていますが、わかりやすくいうと、医療現場で行われている感染を防ぐ対策のことです。常に感染のリスクがある医療の現場では、感染症対策は医療の基本になります。大学で看護を勉強した時も一番最初に習いました。患者さんはもちろんのこと、現場で働く医療者も感染しないための対策は必須のことです。元々は、アメリカ疾病管理予防センター、最近テレビでよく聞くCDC:Center dory Disease Control and Prevention)という機関が1996年に提唱したもので、今、日本でも取り入れられています。

用語解説①アメリカ疾病管理予防センターとは??

アメリカ疾病管理予防センター(CDC)は、アメリカ国内、国外を問わず、人々の健康、安全、セキュリティーを守るアメリカ連邦機関です。疾病の予防や管理、衛生、健康増進や教育活動などと通じて、アメリカ国民の健康上の脅威から守る中心的な役割をもつ組織です。今回の新型コロナウィルス でも、いち早く情報発信をしています。

用語解説②スタンダードプリコーションとは?

医療現場では、感染症があろうがなかろうが、すべての患者さんの血液、汗以外の体液、分泌物、排泄物、そして傷のある皮膚、粘膜は、感染の危険性があるものとして取り扱います。標準予防策は医療従事者にとっては基本中の基本の概念です。標準予防策では対応できない感染症には、さらに感染経路別予防策というのがあって二段構えで感染対策を行なっています。感染対策で大事なことは、感染源を排除すること、感染経路遮断すること、そして、私たち人の抵抗力を上げること、この3つです。

 

スタンダードプリコーションで大切なこと

標準予防策で、一番の基本になるのが「手指衛生」です。手指衛生って何をするの?具体的には、手洗いと手指消毒です。手洗いのブログにも述べていますが、手洗いは、石鹸を使って流水で行います。

そして、手指消毒は、乾いた手に速乾性アルコール消毒液を使って行います。

では、いつ手指衛生をしたらいいのでしょうか?医療現場では「手指衛生は5つのタイミングで行いましょう!」とすすめられています。WHOも提唱していて、5月5日が手指衛生の日なんだそうです。

WHOのMy 5 Moments for Hand Hygiene

これを日本語に訳すと、こんな感じです。

1人の患者さんに対応するのにも、これだけのタイミングで手指衛生をしているんです!そして、手指衛生の他にもマスクやゴーグル、ガウンをつけること、使って汚れたリネンや器材の取り扱い、今、テレビでも時々聞かれる「ゾーニング」という、清潔な場所と不潔な場所を分けること、なども標準予防策として徹底的に行われています。

手洗いをしないで施術する人がいる実態

マシュマロ・タッチ®︎の資格講座には、「他にはない技術を学びたい」と、たくさんのアロマセラピストさんやアロマ講師、ボディケアのお仕事に就いているプロの方にご受講いただいています。そんな皆さんに衛生管理について講義させていただくと、ほとんどの方が驚かれます。「えっ!そんなに手洗いしないとダメなんですか?」「介護施設でいつも20名ぐらいに施術をしているけど、1回も手洗いしたことないです。」「手洗いする時間なんてないし…どうしても、しないとダメですか?」と言われることが余りに多く、講座でお話しするときに、2回に1回はそんなことを言われて、びっくりしています。リラクゼーションの業界は、医療の現場に比べれば、まだまだ衛生面への意識が低い人が多いのを実感しています。医療教育のような明確な基準もないからでしょうか、手洗いのやり方すらできていない方が本当にいたのです。不謹慎かもしれませんが、今回の新型コロナウィルスでリラクゼーション業界で感染症を意識して行動する人が増えたことだけは良かったと思っています。

 

マシュマロ・タッチ®︎の感染症対策

マシュマロ・タッチ®︎の認定セラピスト は、緩和ケア病棟や高齢者施設で、がん患者さんや認知症患者さんにマシュマロ・タッチを提供しています。講座では、緩和ケア病棟や高齢者施設で提供する際は、まず手洗いを徹底していただいています。患者さんの部屋から戻ったら、お茶を飲んだり、記録を取ったりする前にまず手洗いです。その他に標準予防策に則ったセラピスト仕様の感染症対策を教えています。外部から病院に入るセラピストは、医療従事者用の感染予防策とは別の対応も必要だからです。講座の中で、私たちが一番、大切にしているのは「セラピストさん自身の体を守る」ことです。自分自身の体も守れないセラピストは、患者さんに触れてはいけないと私たちは考えています。

れからの施術は感染症対策が当たり前になる

私たちは、もう10年も前から感染症対策を教えています。それは、触れることは感染リスクが高い行為と知っていたからです。今回の新型コロナウィルスでは、人が人に触れることが「感染を広める危険」なこととされています。この新型コロナウィルス が終息した後も、その考えは変わらないと思います。これからマッサージやエステ、アロマテラピーの現場でも、医療現場のように感染症対策は当たり前になっていくことでしょう。第三者の方々に触れる際には、感染対策は必須です。私たちは、そうした事態が来ることを見越して、受講生さんたちに感染症対策を教えてきたのです。そして、これからもより、安全に施術ができるように教育を続けていきたいと思っています。

ちなみに、トップの画像が「何で感染対策の話でラベンダーの写真なの?」とお思いの方もいらっしゃると思います。ラベンダーの語源はラテン語のLavare。「洗う」を意味があります。古代ローマ人がラベンダーの香りをお風呂や衣類の香り付に使っていたといわれています。ちなみに、クリーニングなどを意味するlaundryも同じ語源なんですよ!

参考サイト:

厚生労働省

日本看護協会

Centers for Disease Control and Prevention

看護roo ナースみんなのコミュニティ

サラヤ株式会社

文:見谷 貴代