タッチングとは

がん患者さんへのタッチングとは

大切な家族が病気になったとき、
「自分に何かできることはないか?」
そう思ったことはありませんか。

つらそうな家族の姿を見て、
どうすればいいのかわからない……。
そんなもどかしさを感じたときに、役立つのが
やさしく触れる「タッチング(タッチケア)」です。

タッチングには、
痛みや不安をやわらげ、安心感をもたらす 力があります。

言葉では伝えきれない 「そばにいるよ」 という気持ちを、
手のぬくもりで届けることができます。

食事や運動と同じように、
やさしく触れることも、大切なサポートのひとつです。

タッチングの効果

タッチングケアは、がん患者さんの不安や体のつらさをやわらげる方法のひとつです。
マッサージのように力を加えず、そっと触れることで、安心感やリラックスを届けることができます。

特に、終末期のがん患者さん にとって、強い力のマッサージは負担になることがあります。そんなとき、やさしく触れるタッチングケアなら、患者さんのお身体に負担をかけずにぬくもりを伝えることができます。

タッチングには、さまざまな効果があります。

<不安やストレスの軽減>
手のぬくもりは、心を落ち着かせるホルモンを分泌し、
緊張や不安をやわらげます

<安心感や信頼感を生む>
やさしいタッチは、「あなたを大切に思っている」というメッセージを伝えてくれます

<眠りを助ける>
心地よいタッチは、副交感神経を優位にし、
深いリラックスへと導きます

<心理的な痛みの軽減>
そっと触れることで、不安や孤独感がやわらぎ、
つらさや痛みを和らげることにつながります

タッチングケアの効果
がん患者さんに安心を届ける

<安心を届ける>
触れることで、「ひとりじゃない」と感じられ、孤独感がやわらぐ

<リラックスを促す>
不安や緊張がやわらぎ、穏やかな気持ちになる

<治療のつらさを軽くする>
治療や薬の副作用で気分がすぐれないとき、気持ちを落ち着ける

<痛みが、感じにくくなることがある>
やさしく触れることで、心が落ち着き、痛みがやわらぐ

<気分の落ち込みをやわらげる>
やさしいタッチで抑うつ感がやわらぎ、気持ちが前向きになる

でも、どんな触れ方をしても効果があるわけではありません。
触れ方ひとつで、患者さんが感じるものは大きく変わります。

家族ができるタッチングケア
「やさしく触れる」だけで本当に大丈夫?

タッチングケアは、特別な技術がなくても、すぐに実践できる、やさしいケアです。

・手をやさしく包むように握る → 安心感を伝える
・背中をゆっくり撫でさする → 呼吸が整い、気分が落ち着く
・肩や腕にそっと手を添える → 「そばにいるよ」「大切に思っている」と伝わる
・冷えた足をやさしく包む → 温もりを感じてもらい、心地よい時間をつくる
・腕をやさしく撫でる → 緊張がほぐれ、穏やかな気持ちになる

でも、同じ様に触れていても、感じ方が変わることがあります。
患者さんにとって本当に心地よい触れ方とは、どういうものなのでしょうか?

がん患者さんへのタッチングケア
「やさしく触れる」だけで本当に大丈夫?

がん患者さんに触れるときは、健康な人と同じようにはいきません。
治療中や終末期の患者さんは、体調や皮膚の状態が変わりやすく、触れ方ひとつで心地よさが変わります。

例えば、
・薬や治療で手足にシビレがある場合は?
・リンパ浮腫でむくみがひどい時は?
・手術したところに触っていいの?

がん患者さんの状態によって、触れ方にも注意が必要です。

タッチングはマッサージではない

「触れること」は誰にでもできますが、
ただ触れるだけでは、タッチングの本当の力は発揮されません。

どんな気持ちで触れるか、
どのように触れるかで、
相手が感じる安心感や心地よさは大きく変わります。

力加減ひとつで、心地よさが変わります。
触れるタイミングによって、安心感が深まります。
触れる場所によって、リラックスの度合いが異なります。

「手を当てる」だけでなく、相手の心に寄り添う触れ方が大切です。

タッチングケアは、マッサージとは異なり、力を加えずにやさしく触れるケアです。
特に筋力が落ちているがん患者さんは、強い刺激や揉みほぐすことが負担になることもあります。

目的 タッチングケアの場合
安心感やリラックスを届ける
マッサージの場合
筋肉のコリをほぐし、血行を促進する
触れ方 タッチングケアの場合
手を添える、やさしく撫でる
マッサージの場合
揉む・押す・こねるなどの動作
力の強さ タッチングケアの場合
軽く触れる程度
マッサージの場合
圧を加えて筋肉に刺激を与える
対象 タッチングケアの場合
がん患者さん、認知症患者さん、高齢者、乳幼児
マッサージの場合
体力があり、筋肉のコリや体の疲れを取りたい方
 タッチングケアマッサージ
目的安心感やリラックスを届ける筋肉のコリをほぐし、血行を促進する
触れ方手を添える、やさしく撫でる揉む・押す・こねるなどの動作
力の強さ軽く触れる程度圧を加えて筋肉に刺激を与える
対象がん患者さん、認知症患者さん、高齢者、乳幼児体力があり、筋肉のコリや体の疲れを取りたい方

タッチングは体の疲れを取るのではなく、不安や緊張をやわらげ、ぬくもりと心地よさを伝えるリラックスの技術なのです。

がん患者へのタッチング

タッチング(タッチケア)は、がん患者さんの不安やつらさをやわらげる方法の一つです。
マッサージのように力をかけず、そっと触れることで安心感やリラックスを届けます。

エビデンスのあるマシュマロ・タッチ

マシュマロ・タッチは、科学的に効果が検証されたタッチング技術です。
「タッチングの5原則 PARTS」 を使うことで、誰でも適切に触れる方法が身につきます。

研究では、5分間のハンドタッチで、患者さんの 不安や緊張、抑うつ感が軽減することが確認されています。触れることで心と体に安心をもたらす。
それが、エビデンスに基づくマシュマロ・タッチです。

※見谷貴代ら,日本看護技術学会誌.125-130(2018)

マシュマロ・タッチ🄬講座案内

タッチング実践のためのアセスメント方法と実践の技術が学べて資格が取れる講座です。

介護ハンドセラピー
体験レッスン(初級)

体験レッスンでは、認知症やがんの方のケアとして注目されている「マシュマロタッチ」を90分で気軽に体験していただけます。高齢者や認知症患者さんにやさしく触れることで得られる効果や、ハンドセラピーの魅力を感じられる内容です。タッチケアを体験したい方におススメです。

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マシュマロ・タッチ®認定講座

がん患者や認知症、高齢者などへのケアに活用できるマシュマロ・タッチの認定資格を取得できる講座です。介護現場で安全に提供できる技術と知識を学び、円背の高齢者や皮下出血、冷えなどよくあるケースに対応法が学べます。また、現場で役立つ実践マニュアルが付いているので、学んだ技術をすぐに活用できます。

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Point!

看護師も使っているタッチング

タッチングは、医療や介護の現場で取り入れられているケアのひとつです。
緩和ケア病棟や介護施設では、看護師が患者さんにタッチングを行い、心と体の安らぎをサポートしています。

マシュマロ・タッチの医療職向け技術「メディカル・タッチ」 は、
大学の授業や病院の研修にも採用され、専門的な技術として活用されています。

研究・学会発表実績

2018年 日本看護技術学会誌に論文掲載
「短時間のハンドマッサージによる生理的・心理的効果の検証 ―実施時間の差異によるランダム化比較試験―」

本も出版されています

大阪国際がんセンター乳腺内分泌外科の中山貴寛先生が監修したがん患者さんのためのタッチングの本です。
ご家族でも安心してタッチングが実践できるように、イラストを使ってわかりやすく解説しています。詳しくはこちらをご覧ください。

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