最近、「SDGs(エス・ディ・ジーズ)」という言葉を目にすることが増えましたね。
正直なところ、私は最近まで 「タッチングケアとSDGsは、あまり関係ないんじゃないかな?」 と思っていました。
ところが、SDGsの内容を一つひとつ紐解いていくと、意外にも私たちの活動と深くつながっていることがわかってきたのです。
そこで今回は、マシュマロ・タッチの活動を通して見えてきた 「SDGsの視点から見た“触れるケア”」 について、お話ししたいと思います。
今、介護やケアに向き合っている方にこそ、知っていただきたいお話です。
目次
SDGsは、「持続可能な開発目標」という言葉の略称です。
簡単に言うと、 「地球と人の暮らしを、これから先も続けていくための世界共通の約束」 だと思ってください。
全部で17の目標があります。 ニュースでは「環境問題」や「貧困」のイメージが強いかもしれませんが、実は、
・すべての人が健康で安心して暮らせること
・誰ひとり取り残さない社会を作ること
といった、人の心や生活に直結する目標もしっかり入っています。
がん、介護、認知症ケアなど、私たちが日々向き合っているテーマも、SDGsの大切な一部なのです。
がん患者さんやご家族、高齢者、認知症の方にとって、「優しく触れられる経験」は、安心をもたらし、心と体の両方に良い影響を与えます。
・不安や緊張が少しやわらぐ
・痛みへの恐怖心が軽くなる
・「ひとりではない」と感じられる
マシュマロ・タッチは、人が本来持っている温かさや「安心感」を、手を通じて患者さんに伝えることを目指しています。
病気があっても、治療中でも、 安心して、尊厳を保ちながら過ごせる時間」を増やすこと。 これは、まさにSDGsが掲げる「すべての人に健康と福祉を」そのものです。
タッチングケアは、「気持ち」だけで行うものではありません。事故を起こさないように、正しい知識と技術が必要です。
マシュマロ・タッチでは、
・ご家族向けのタッチング講座
・介護職・看護職向けのプロ向けの講座や研修
・ボランティア活動に活かせる認定講座
など、様々な立場の方が学べる場を用意しています。
特に大切にしているのは、「感覚」に頼りすぎないことです。 専用のセンサーを使って触れる強さや速度を「見える化」し、医学的な根拠に基づいた安全な触れ方を学べる仕組みを作っています。
「なんとなく手を当てる」のではなく、自信を持ってケアができるようになる。 こうした学びの機会を提供することが、「質の高い教育」につながると考えています。
マシュマロ・タッチの活動は、私ひとりでは成り立ちません。
・技術を学び、実践してくださる生徒さんたち
・病院や患者支援のボランティアの方々
・連携してくださる行政・企業・NPOのみなさん
こうした様々な「パートナー」とのつながりがあるからこそ、本当に必要としている方の元へケアを届けることができます。
SDGsの最後の目標が「パートナーシップ」であるように、触れるケアも、いろいろな立場の人が手を取り合うことで、社会に広がっていくのです。
私ががんの母を看取ったとき、いちばん辛かったのは、身体的な疲労よりも 「どこにも相談できない」 「自分だけが孤独に頑張っている気がする」 という、社会から取り残されたような感覚でした。
今、講座にはさまざまな立場の方が来られます。
・がん患者さんのご家族
・認知症のご両親を介護している方
・施設や在宅で働く、介護士・看護師のみなさん
共通しているのは、 「目の前の大切な人の力になりたい」 「少しでも、楽にさせてあげたい」 という温かい想いです。
SDGsが掲げる「誰ひとり取り残さない」という言葉。 私はこれを、
「病気の人も、それを支える人も、どちらも大事にされる社会」
という意味として受け止めています。
介護する人が孤立せず、される人も安心できる。 そんな社会を目指して、これからも活動を続けていきたいと思います。
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