こんにちは、マシュマロ・タッチの前川です。
前回は、がん患者さんに安心感を届ける方法として「触れること」の大切さをお伝えしました。
今回は、やさしさが伝わる触れ方のコツを、少しだけご紹介します。
目次
「やさしく触れたつもりだったのに、イヤがられてしまった」
そんな経験はありませんか?
がん患者さんの体や心の状態はとても繊細で、触れ方ひとつで安心にも不快にも変わってしまいます。
“安心感を届ける触れ方”には、ちょっとしたコツがあります。
それは、相手の状態に合わせて「どんなふれ方をするか」を選ぶということなんです。
例えば、私がハンドタッチをするときに意識しているのは、こんなことです。
・無理に触れようとしない
・必ず声をかけてから手を添える
・手や腕を“つかむ”のではなく“そえる”
・体に負担をかけないよう、短時間で済ませる
どれも小さなことかもしれません。
でも、こうした積み重ねが、安心感につながる“ふれ方”になるのです。
タッチケアは、ただのスキンシップではありません。
相手の心と体に向き合う、れっきとしたコミュニケーションです。
だからこそ、状態を理解せずに「やさしくしているつもり」で触れてしまうと、かえって緊張や不快感を与えてしまうこともあるのです。
最近は、ハンドマッサージやタッチケアの動画をYouTubeなどで簡単に見ることができます。
「これなら自分にもできそう」
そう思って、試してみた方もいるかもしれません。
でも…
がん患者さんのお身体は、健康な方とはまったく違うことがあります。
例えば、
・手術や治療の影響で、皮膚がとても敏感になっている
・そっと触れただけでも痛みを感じることがある
そんな状態の方に、動画のままの触れ方をしてしまうと、「安心」や「心地よさ」にはつながらないこともあるのです。
だからこそ大切なのは、
・どこに触れるか
・どんな強さで
・どの方向に動かすか
一つひとつを丁寧に考えながら触れることが必要です。それが、がん患者さんにとっての
「負担にならない、やさしい触れ方」につながります。
私が行っている「マシュマロ・タッチ」では、がん患者さんに安心してもらうために、次のようなことを大切にしています。
・手や腕をつかまない
・腕枕を使わない
・肌に触れるときは、必ず声をかけてから
・疲れが出ないように短時間で行う
・マッサージにならないようにする
こうした小さな気配りの積み重ねが、「ただ触れるだけ」ではない安心感につながるのです。
マシュマロ・タッチは、
「自分が気持ちよかったから」
「患者さんが喜んでくれたから」
といった偶然の積み重ねでできたものではありません。
がん患者さんのつらさに触れながら、
「どうすれば、患者さんに負担をかけずに安心してもらえるか」
を、解剖学や生理学などの視点から一つひとつ丁寧に考え、
“設計”してきた触れ方なのです。
たとえばビルを建てるとき、安全に立てるために設計図が必要ですよね。
マシュマロ・タッチにも同じように、安心を届けるための“触れ方のデザイン”があります。
・どれくらいの時間が適切か
・身体への負担をどう減らすか
すべてが、「がん患者さんに安心して触れる」ことを前提に作られています。
「安全に安心感を届けたい」
そうした思いに共感して、看護師さんや看護大学の先生方も講座を受講してくださっています。
がん患者さんへの“触れ方”には、思いやりだけでなく、少しの工夫と理解が欠かせません。
言葉では届かない思いも、「手」でなら伝えられることがあります。
マシュマロ・タッチは、そんな“安心を届ける触れ方”を、科学的な視点から丁寧にデザインしたタッチングケアです。
すべては、がん患者さんのつらさや不安に、そっと寄り添うために。
あなたの手が、誰かにとっての安心になりますように。
講座では、その具体的な方法やコツを、実践を交えてお伝えしています。
もし、「自分にもできることがあるかもしれない」と感じた方は、ぜひ一度ご覧ください。
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