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『がんのつらさや痛みをやわらげる家族ができる12の方法』を出すときに、絶対に怪しい本にはならないようにしようと思いました。よくある「〇〇で治る!」系と間違われるのはイヤだったので、エビデンスをしっかり調べようと思いました。
実は、最初のお話では、星湖舎さんから、がん患者、認知症、発達障害のご家族向けと3冊を同時出版しないかというお話もあったんです。さすがに、それは無理ということで、がん患者家族向けの本だけにしてもらいました。
一気に3冊も書けないのは、エビデンスを調べるのに、ものすごく時間が掛かるからです。最低3ヶ月は必要と見ていたので、1年後に3冊はさすがに無理でした。毎日、7〜8時間は費やしてたと思います。それが6カ月も続くとは、思わなかったですけど…。
「がんのつらさや痛みをやわらげる家族ができる12の方法」の最後を見ていただくと参考文献のページがあります。本に載せたのは極一部で、文献を調べているときは、その30倍は調べています。
本が出る2カ月前になっても調べていて、編集のYさんに「まだ、参考文献が増えるんですか?」と聞かれて「すみません、追加は2ページ以内に納めます!」と返してました。
Yさん、参考文献のページ数が増えて本当にすみませんでした。
私がエビデンスにこだわるのは、はっきりした根拠のないことを患者さんにするのが怖いからです。本を書いているとき、私はずっと『これ、母にして大丈夫かな』と思っていました。
本当に母にして大丈夫なの?
頭の中で、その言葉がリフレインする中で、エビデンスを探し続けていました。母にすると思ったら、根拠のないことはできなかったからです。
私は本を読んだがん患者さんとご家族に、安心してタッチングをしてもらいたいと思っています。だから、根拠もないのに「やさしく、なでればいいんですよ」なんて無責任なことは書けませんでした。
この本は、大阪国際がんセンターの中山先生に監修していただきました。本が出るまで約5ヶ月に渡って監修していただきました。中山先生からは、論文だけでは分からない臨床現場からのご意見もいただきました。深く感謝しております。
中山先生の確認は、本を出すギリギリまで続きました。編集のYさんと「印刷、間に合いますかね?」とドキドキしながら、お返事を待っていました。印刷に回す3日前にお返事が届いて、Yさんと胸を撫で下ろしたんのは、今では良い思い出になっています。
私は看護師さんにメディカル・タッチというタッチング技術も教えています。そこでは、専門的なタッチング技術を伝えています。教える内容は、必ず根拠に基づいています。なぜなら、医療では必ず根拠が問われるからです。この本も、患者さんのご家族向けですが、同じだと思いました。
がん患者さんとご家族に安心して使っていただくために、エビデンスは絶対に手を抜かないと、お話をいただいた時から決めていました。
余談ですが、私は看護師向けのタッチングの本も出版しています。ご興味のある方は、『看護にいかす触れるケア』中央法規出版で検索していただくか、こちらのリンクからAmazonでもご購入いただけます。
実は、こちらの本より、ご家族向けの本の方が、エビデンスを調べるのが大変でした。まさか6ヶ月もかかるとは思っていもいなかったです。
つづく
⭐︎本が出来上がるまでのお話を毎週、金曜日にアップ
『がんのつらさや痛みをやわらげる家族ができる12の方法』ができるまで 01
『がんのつらさや痛みをやわらげる家族ができる12の方法』ができるまで 03