昔は「マッサージ」と間違えられることが多かったマシュマロ・タッチ。最近では「タッチケア」と混同されることが増えました。
どちらも「やさしく触れる」技術ですが、マシュマロ・タッチには独自の特徴があります。では、どこが違うのでしょうか?
目次
マシュマロ・タッチは、患者さんをケアする目的で作りました。この技術を形にする際に、私が考えたのは以下の3つです。
・患者さんに安全であるこ
・短時間で効果を出せるこ
・科学的な根拠(エビデンス)があること
他にもまだまだあるのですが、上記の3つは外せませんでした。特に考えたのは、患者さんが安心して受けられることを最優先に設計しました。これがマシュマロ・タッチの原点なのです。
マシュマロ・タッチの原型を作ったのは2008年頃のことです。そこから約10年にわたり試行錯誤を重ね、安全性を徹底的に追求しました。
当初、健康な人に「気持ちいい」と感じてもらえる技術を作るのは比較的簡単でした。しかし、患者さんに使用するにはそれだけでは十分ではないと気づいたのです。
例えば、手根管症候群や関節リウマチといった病気を持つ方には、慎重な対応が求められます。私は、様々な患者さんに個別に対応しなくても、安全に使える技術にしたい、標準治療のような普遍的な技術を作りたいと思いました。
その道のりは決して平坦ではありませんでした。さまざまな壁にぶつかりながらも、「もっと安全に」「もっと効果的に」を合言葉に改良を重ねました。そうしてついに完成したのが、現在のマシュマロ・タッチです。
患者さんは、体力や気力が低下していることが多いです。そのため、長時間触れ続けるのは身体の負担になります。
患者さんにとって大切なのは、「負担がないように短時間で効果を出すこと」だと私は考えました。
実は私自身、交通事故でのリハビリ経験があります。その中で学んだのは、優れた施術者ほど短時間で効果を出すということでした。そこから着想を得て、マシュマロ・タッチも短時間で気持ちよさを感じてもらえる技術を目指しました。
マシュマロ・タッチを医療現場で活用してもらう為には、科学的な根拠(エビデンス)が必要でした。そのとき協力してくれたのが、今一緒にタッチングを広げる活動をしている見谷さんです。
彼女はマシュマロ・タッチの可能性を感じ、40歳を過ぎてから神戸大学に入学し、効果を裏付ける論文※を発表してくれました。
※見谷貴代ら,日本看護技術学会誌.125-130(2018)
マシュマロ・タッチのもう一つの特徴は、施術する人も癒されることです。講座を受講した生徒さんからは、「触っているだけで眠くなってしまいました」と驚きの声をいただくことがよくあります。
その秘密は「タッチングの5原則」にあります。これは私が考案した、エビデンスに基づいたタッチングのコツです。
受講者の皆さんから「自分が気持ちよさを感じながらケアできるなんて思いませんでした」という感想も多くいただいています。
「タッチングの5原則」を学ぶことで、触る人が気持ちよさを体験できるのも、マシュマロ・タッチの魅力です。
タッチケアは「やさしく触れる技術」という点では共通しますが、マシュマロ・タッチは「患者さんのケア」に特化しているため、コンセプトが異なります。
また、タッチケアという名称は多くの商標が登録されています。マシュマロ・タッチの独自性を守るため、あえて「タッチケア」という言葉を使っていません。
マシュマロ・タッチは、私が患者さんを思いながら一つひとつ丁寧に作り上げた技術です。マシュマロ・タッチは、どこまでいってもマシュマロ・タッチなんです。
マシュマロ・タッチは、心身ともに疲弊した患者さんやそのご家族のために開発した技術です。やさしく触れることで、受ける人も施術する人も癒されます。
この技術には、「患者さんを安心させたい」「家族のケアが少しでも楽になってほしい」という私の想いが込められています。マシュマロ・タッチが、誰かの心にそっと寄り添う支えになればと思っています。
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